工事台帳って何?経理が作る“見積もり前から始める台帳”のススメ

建設業の経理

工事台帳って、つまりどういうもの?

工事台帳は、請求管理・入金管理・実績管理など、建設業の経理業務をスムーズにするための「情報の土台」です。見積書の発行といった取引の発生段階から台帳を用意しておくことで、現場と経理のあいだに生じやすいタイムラグや情報の漏れを減らすことができます。


なぜ“最初に”台帳を作るのか

建設業では、複数の現場が同時進行で動いており、日報や請求書、納品書などの資料もバラバラに届くのが日常です。工事担当者が一次情報を握っていて、経理担当に情報が届くタイミングが遅れがちなため、請求漏れや記録ミスが起きやすい構造になっています。

そこで、「最初に台帳を作っておく」と、次のようなメリットがあります:

  • 情報が集まる“受け皿”があることで抜け漏れを防げる
  • 日報を見ながら、誰がどの現場でどんな工事をしているかを把握しやすくなる
  • 現場名や所在地などの表記ゆれを防げるため、帳票作成やチェックが楽になる

実際には、こんなふうに拾い集めてます

建設業で経理をしていると、案件が発生していることをいろいろな断片情報から把握することになります。

たとえば:

  • 工事担当者とのチャットで「〇〇区で新しい見積もり依頼がきた」と話題に上がった
  • 作業日報や人工帳に、初めて見る現場名が記載されていた
  • 下請業者から届いた請求書に見覚えのない工事名が載っていた
  • 建材の納品書に新しい現場の住所が書かれていた
  • 領収証ホルダーに未登録の現場のレシートが挟まっていた

こうした“きっかけ”を逃さず、都度、工事台帳に情報を記録していきます。

私の会社では、見積もり作成の段階から台帳を用意し、案件名・住所・顧客名・予定金額などの基本情報を入力しておきます。

現場が動き出したら、人工帳や日報、支払伝票、下請からの請求書などを台帳にひもづけて管理。Excelで運用しているので、フィルター機能を使えば現場別・取引先別の資料もすぐに抽出できるようにしています。

工事台帳の基本フォーマット(例)

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このように、最低限「案件名・顧客名・場所・金額」などの基本情報に加え、請求や入金に関わる情報も同じファイル内で一元管理しておくことで、あとからの確認や分析がしやすくなります。社内ではこの台帳をもとに、各種帳票を切り出して作成しています。

また、現場名や住所の表記が担当者によってバラバラになる問題を防ぐため、「工事名の正式名称」を台帳で統一。関係者間で表記をそろえるようにしています。


台帳は“先に作る”、それが業務効率化の第一歩

工事台帳は「あとから記録するもの」ではなく、「最初に作って育てるもの」。

最初に台帳を用意しておくことで、情報の抜け漏れ・請求ミス・帳票づくりの二度手間をぐっと減らすことができます。

現場と経理の連携に悩んでいるなら、まずは一つ台帳を作ってみるところから始めてみてください。

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