私の会社は中小企業で、経理担当として現場を支える立場にあります。 建設業の経理は、一般企業とは違い工事単位で動く独特な世界。 「なんでこの領収証、工事名が書いてないの!?」「出来高って何をもとに計算すんの?」──そんな悩み、経理担当なら一度はぶち当たったことがあるんじゃないでしょうか。
この記事では、建設業ならではの経理の特徴や、一般企業との違いをわかりやすく紹介します。 現場で実際に感じていることも交えながら、建設業経理の「基本のキ」からお届けします。
建設業経理の特徴
ここでは、建設業の経理実務における特徴を、中小企業で働く目線から整理しました。
建設業経理には、他業種にはない独特な特徴があります。以下に主なポイントをまとめました:
- 工事ごとに経理処理を行う: 一般企業のように部門単位ではなく、「Aマンション新築工事」「B邸改修工事」など、工事単位で原価管理を行います。
- 工期や契約の多様性: 工期は数日〜年単位と幅広く、契約によっては前渡金・出来高払い・残金清算など、売上の計上方法もさまざまです。
- 日常的な現場連携: 発注変更や追加工事が頻繁に発生し、そのたびに契約金額が動くため、契約書・日報・請求書の三位一体管理が必要です。
- “動く経理”としての役割: 経理といっても内勤にとどまらず、現場担当と連携しながら業務を進めることが多く、フットワークも求められます。
- 安全書類の作成や提出への関与: 厳密には経理業務とは異なりますが、下請業者の安全書類の確認・整理などを経理が担う場面もあります。現場と総務の間をつなぐ役割として対応が求められることもあります。
こうした特徴を理解しておくことが、建設業で経理として活躍する第一歩です。
一般企業の経理との主な違い
一般企業の経理と建設業経理は何がどう違うのか?表形式で比較していきます。
建設業の経理は、一般的な企業とは仕組みや考え方がかなり異なります。 特に大きく違うのは、「売上の管理方法」と「経費の集計方法」。 ここでは、よくある経理業務を比較しながら、違いを見ていきます。
比較項目 | 一般企業の経理 | 建設業の経理 |
---|---|---|
管理単位 | 部門・商品単位で管理 | 工事単位で管理し、工事ごとの収支を把握 |
売上計上 | 納品やサービス提供時に一括計上 | 工事の進捗に応じて出来高で計上 |
請求 | 月末締め・翌月請求など一定のタイミング | 前渡金・中間金・完成後清算など、契約内容に応じて柔軟に対応 |
入金管理 | 入金処理は顧客単位で一括処理 | 工事ごとにタイミングが異なるため、入金確認や消込作業に手間がかかることが多い |
原価管理 | 商品の仕入原価などが中心 | 材料費・外注費・労務費などを工事単位で集計 |
必要書類 | 請求書・領収証などが中心 | 日報・契約書(注文書・注文請書)・変更契約書・安全書類など種類が多い |
関係部門 | 経理部・営業部など社内完結型が多い | 現場担当者との密なやりとりが必要。総務的な役割も担うことがある |
建設業の経理では、「進捗(出来高)を数字で管理する感覚」や、「書類の多さ・種類の多様さ」が肝になる場面が多いです。
まとめ
建設業経理は、一般企業の経理とは違う、独特な業務の連続です。 中小建設会社で実務を担う立場から見て、特に重要だと感じている点を整理すると:
- 工事ごとにすべてを管理
原価管理・売上計上・入金消込まで、工事単位で処理が必要 - 工期や契約内容の多様さ
前渡金や出来高払いなど、契約に応じた柔軟な対応が求められる - 書類の種類が多く、現場との連携が不可欠
契約書・日報・安全書類など、現場と経理が連動しないと回らない - 「人」に合わせた柔軟さが必要
現場担当者の得手不得手に応じて、経理側のフォローも欠かせない - “縁の下の力持ち”としてのやりがい
目立たなくても、会社の土台を支えている実感が得られる
帳簿をつけるだけじゃない、人と人との信頼を支える仕事。 それが中小建設業における経理の現場で、私が日々感じているリアルです。
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